第2話 / 全17話
第2話
私と藤宮晶は、物心ついた頃から犬猿の仲だった。喧嘩も口げんかも日常茶飯事だ。
藤宮の両親は事業を広げるのに忙しく、朝から晩まで家を空けることが多かった。そのため、藤宮はいつもうちでご飯を食べ、そのまま泊まっていった。
子供の頃の藤宮は、かわいらしい童顔で、今よりずっとかわいかった。母はそんな彼をたいそう気に入り、これでもかというほど甘やかしていた。
けれど、私の前では毒舌で、やたらと根に持つ嫌なやつでしかない。当然、取っ組み合いの喧嘩も一度や二度ではなかった。
ある日、私たちは並んで机に向かい、宿題をしていた。すると藤宮が不意に顔を寄せてきて、私の顔をじっと見つめた。しばらく観察した末、意地の悪い口調で言い放つ。
「紗奈、お前って本当にブスだよな。まあ、お前を相手にしてやれるのは俺くらいだけど」
それを聞いた瞬間、私は頭に血が上った。思春期のせいで顔にニキビがいくつかできていただけなのに。小さい頃から、誰に会っても「かわいい」と褒められてきた私に向かって、なんてことを言うのだ。
次の瞬間には、藤宮につかみかかっていた。
「結構です。どうぞご自由に嫌ってくださいな」
取っ組み合いながら、すかさず言い返す。
「この美少女はモテるんだから。昨日だって、すっごいイケメンに告白されたんだよ」
藤宮の動きがぴたりと止まり、その顔が一瞬で険しくなった。
「誰だ?」
「誰がお前に告白した?」
藤宮が気を取られた隙に、私は素早く彼を押さえ込んだ。
藤宮は顔をそむけ、不満げにぼそりとつぶやいた。
「そいつがどれだけイケメンでも、俺よりかっこいいわけないだろ。学校一のイケメンと毎日一緒にいられるんだ。光栄に思えよ」
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